大腸がんは多いのか?
日本人の2人に1人はがんと云われます。日本で死亡に至るがんの多い順に、1位 肺、2位 大腸、3位 胃、4位 脾臓、5位 肝臓で、女性の1位は大腸です。
がんになりやすい部位は、1位 大腸、2位 胃、3位 肺、4位 乳房、5位 前立腺です。
どうみても大腸がんは多いと言わざるを得ません。
大腸ポリープについて
大腸ポリープは、大腸や直腸に生じたポリープです。キノコのような形をしたものや、イボのように隆起したものなどが見られます。
大腸ポリープは、「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」に大きく分けられます。
「腫瘍性ポリープ」は、がん化することがあります。一方で「非腫瘍性ポリープ」は、がん化の可能性が極めて低いとされています。
がんへと進展する可能性があるポリープを大腸カメラ検査で正確に見極め、適切に対処することが、大腸がんのリスクを下げることにつながります。
早期大腸がんについて
大腸に生じた腫瘍性ポリープで悪性の腫瘍です。がんの広がりが粘膜または粘膜下層にとどまっている状態です。
早期大腸がんは、ほとんど自覚症状がありません。
気づかぬうちに進行し、症状が現れたときには「進行がん」へと進んでいるケースもあります。症状がなければどうしようもない…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、年に1回でも大腸カメラを受けていただくだけでも、何もしないよりは早期発見できる可能性が十分にあります。
症状がない早期大腸がんのうちに発見できれば、小さいものだと内視鏡で切除し、完治が可能なのです。
日帰りでの大腸ポリープ・早期大腸がん切除の方法と流れ
以前は入院での大腸ポリープが主流でしたが、身体への負担が少なく、安全に施行できるようになっており、自立し大きな持病がなければ日帰りで可能です。また医療費や制限される時間も軽減できるメリットがあります。
当院では、大腸ポリープ切除の方法として、切除後の出血が少なく安全な「コールドスネアポリペクトミー」を導入しています。
やや大型もしくはがんを疑う病変については、広範囲に切除できる「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」にて切除します。
コールドスネアポリペクトミー
コールドスネアポリペクトミーとは、大腸ポリープに金属ワイヤーをかけて切除する方法です。
高周波電流による通電を行わないため、切除後の出血が少なく、腸管穿孔の危険性もまずありません。
安心・安全に大腸ポリープを切除することが可能です。
- 大腸ポリープを発見したら、切除可能かどうかよく観察します。
- 切除可能な場合、大腸ポリープの根元に金属ワイヤーをかけて、病変の一回り大きい範囲を絞扼・切除します。
- 大腸ポリープを切除した後、出血が無いことを確認し、必要があれば止血します。
- 取り切れていることと止血が確認できたら処置は終了です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
大腸ポリープ直下の粘膜下層に生理食塩水を注入して、粘膜を挙上させた後、金属ワイヤーをかけて高周波電流を通電させて焼き切ります。
通常、やや大型もしくはがんを疑う病変、早期大腸がん(ケースによる)に対して行われます。
- 大腸ポリープを発見したら、切除可能かどうかよく観察します。
- 切除可能な場合、大腸ポリープ直下の粘膜下層に注射針で生理食塩水を注入して、病変を含む粘膜を挙上させます。
- 大腸ポリープの根元の病変の一回り大きい範囲に金属ワイヤーをかけて、高周波電流を通電させて病変を中心に焼き切ります。
- 出血予防のために内視鏡用クリップで傷口を閉じたらEMRは終了です。
大腸ポリープが出来る原因
生活習慣・食習慣
大腸がん・大腸ポリープの患者数と生活様式の変化から、食生活と大きく関係している可能性が高いことが分かります。特に、動物性たんぱく質や脂肪の摂り過ぎ、食物繊維の摂取量の不足など、いわゆる「食事内容の欧米化」は、大腸ポリープの発生のリスクを高めています。
遺伝
一部の遺伝子(APC遺伝子、K-ras遺伝子、P53遺伝子など)の異常も、大腸ポリープの発生、大腸がんへの進展と関連していると言われています。血縁の方に大腸がん、大腸ポリープの診断を受けられた方は特に注意を要します。症状が無くても大腸内視鏡検査を強くお勧めいたします。
大腸ポリープが見つかる確率
大腸カメラ検査を受けた方のうち、約40%で大腸ポリープが見つかっています。(大腸がんは約3%)
大腸ポリープには、がん化する恐れのあるものとがん化する恐れが極めて低いものがあります。がん化する恐れのあるポリープを早期に発見し、切除しておくことが大腸がんの予防に役立ちます。
大腸ポリープ切除の費用
健康保険3割負担の場合 | |
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大腸ポリープ切除(日帰り手術) | 20,000~30,000円 |
1割負担の方は、上記費用の約3分の1となります。
状況により、多少異なる場合がございます。
大腸ポリープ切除後の注意事項
- 切除後3日程度は入浴、サウナなどはお控えください。
- 切除後1週間程度は、激しい運動、飛行機を使った旅行、アルコールや香辛料などの刺激物の摂取はお控えください。